2018/07/10

レビュー:Holes (Louis Sachar)



Holes
著:Louis Sachar
お気に入り度:★★★★☆
読みやすさ:★★★☆☆


なぜか「英語多読と言えばこれ!」みたいな、学習者は必ず読まなくては行けないような位置づけに祭りあげられている感のある、ルイス・サッカーのHoles。

※後半にちょっとネタバレも含む読み方ガイドを書きます。(目印付けておきます)
 もし読みづらいと感じた場合は参考にしてみて下さい。
 ネタバレを嫌う方はご注意。


なんだか、多読教材みたいな評価はちょっと不当だと思っていて、単純にサッカーが好きなら読めば良いんだよなぁ~と思っています。
多読ってのは、無理してがんばろうとしても続きませんので、勉強と思って読むよりは、楽しく読めるレベルのものを選ぶのが良いし、楽しく思えないならやらなくて良いと思っています。

それはそれとしてレビュー。
いかにもサッカーらしいストーリーテリングですね。
Marvin Redpostなどでも同じですが、最後に上手くまとまっていく感覚がすごいです。
主人公のめげないキャラクターも好感が持てますね。

4.5万語を超える長さですので、洋書を読むことに少し慣れてきている必要はあると思います。
単語はたまにちょっと難しいものが出てきたりします。
キャンプでの生活で出てくる単語は繰り返し見かけるので、読んでいるうちに覚えちゃいますね。

Lexileは660となっていますが、長さを考えると700台くらいと見ても良いのかなという感覚。
序盤、ストーリーに入り込むまでが少し長いのですが、そこを過ぎれば楽しめます。


■■=====以下、ストーリーの核心に触れない軽いネタバレ含みます。
さて、とはいえ、ちょっと長いストーリーです。
そして、サッカーらしく、いろいろな伏線が張り巡らされているので、ちょっとストーリーを理解するためのヒントを。

まず、登場人物を注意して読んでいくことをオススメします。
特に、名前も大事です。
主人公がキャンプで出会う友だちがキーになってきますので、その辺に注目してみて下さい。

また、過去の話と現在の話が並行して進んでいきます。
過去の話は最初はただの昔話のような感じで挿入されますが、実はちゃんと後で繋がりますので、これも注目ですね。


■■=====以下、ネタバレです。
僕自身、最初に読み終わったとき、全てを理解できなかったのですよね~。
結構大事なところを見逃していまして。

洋書の多読は読むスピードがある程度大事でして、ゆっくり読んでいると最初の部分の記憶が曖昧になってきますので、こういう伏線が張り巡らされている本だと、訳が分からなくなってしまいます。

ズバリ、キーワードはゼロの本名と、スタンリーの先祖にかかったのろいですね。
スタンリーの先祖が豚を運ぶうちに体が鍛えられるというくだりは、スタンリー自身が穴を掘っていて強くなっていくところとオーバーラップしています。

全体としては、スタンリーとゼロの友情物語でもあり、運命と呪いのおとぎ話でもあるという感じになっています。
この辺の作りはサッカーのとても上手いところですね。