2020/01/08

レビュー:The Serpent's Shadow (The Kane Chronicles Book 3)



The Serpent's Shadow (The Kane Chronicles Book 3)
著:Rick Riordan
お気に入り度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆

全3巻のケインクロニクルシリーズの最終巻になります。
これねー、日本語版が出てないんですよ。
第2巻があからさまに「続く」って感じなので、いつか出ると良いんですけど・・・もうだいぶ動きがないから難しいんでしょうねぇ。

そんなわけで、日本語化されなかった本を読むことができたという点では英語を勉強しててよかったと思うわけです。

相変わらず、CarterとSadieが切り替わってストーリーを交互に語っていく形式。
切り替わりはあれど一人称で固定されているのもあり、読みやすい感じです。
3巻ともなればエジプトの神様の名前や世界観にも慣れてきますからね。

パーシージャクソンシリーズもそうですけど、この人の話は短い期間にすんごい危機がぎっしり詰め込まれちゃうので、長いもののどんどん先が気になって読んでしまいます。
最終決戦も盛り上がりますね。

ただちょっとマンネリ感も否めないかな。
3巻で終わってちょうどよかったかも。
パーシージャクソンの方は、かなりいろいろな神様も出したしキャラや世界観も広げたけど、こちらは割と小さくまとめた感じがします。
エジプト神話の知名度も考えての上のことかもしれませんね。

Lexile指標では690となっていますが、ストーリーが面白ければ読める!(笑)

レビュー:Hoot



Hoot
著:Carl Hiaasen
読みやすさ:★★★☆☆
お気に入り度:★★★☆☆

表紙のデザインが良かったうえに、Amazonでのレビューもまぁまぁだったので、たまには違う作者に手を出してみたくて買った本。
環境問題をテーマにしたかったらしくて、フクロウのすみかが絡んだ、ちょっとミステリーチックな話の展開になっている。

主人公が小学生なので、いじめ問題もあり、謎の少年とか家族の問題など、いろいろ要素は盛り込まれているんだよね。

僕の個人的な感想で言ってしまうと、最後の方の盛り上がりは非常に良かったのですが、そこに行くまでの単調さだったり、ストーリーの必然性の薄さみたいなものはちょっと厳しかった印象。
でもほんと、最後の結末だけは良かったから読後感は良いですね。
こういう学園ものっていうのか、子どもの機微みたいな部分はルイス・サッカーがべらぼうにうまくて、それと比べてしまうのはちょっと酷なのかもしれないと思いますけど。

夏休みの課題図書とかに入りそうな感じでしょうか。
大人が読むにはもうちょっと深みが欲しかったけど、このくらいの方がわかりやすくて子供には良いのかもしれないなという感じもありますね。

2019/09/24

洋書多読はいつ始めればいい?

「多読が最強!」みたいな論調が嫌いです。

もちろん英語の学習方法にはいろいろなものがある中で、洋書の多読というのはとても効果的なものであると思います。
だけど、たくさん聞くのだって、単語集をやるのだって、文法の勉強とかディクテーションとかシャドウイングとか、オンライン英会話とか、みんなそれぞれ効果的なんです。

多読については特に注意が必要かなと思うのは、基礎的なことができてないのに多読をしても、ただつらいだけなんですね。

■最初に結論:多読を始める前に基本的な文法を身に着けよう。

多読していると知らない単語が出てきます。
だけど、単語は調べればわかります。
文法も調べればわかるかもしれませんが、こちらの方はある程度の基礎知識がないと調べ方すらわかりません。

なので、多読をして英語を学習したいと思うなら、おおむね構文がわかるくらいの文法力は必要であると思います。

また、日本の英語教育では難しいとして後回しになっている過去完了・未来完了、仮定法、関係代名詞のwhatや関係副詞なども、ネイティブ向けの洋書では普通に登場します。

それも踏まえると、だいたい高校1年生くらいまでの英文法は、おぼろげにでもわかっていた方がいいですね。

■多読で単語や文法は自然に身につく?

よくある「ネイティブの子どもが身に着けるように英語を身につける」という方法論では、文法とか単語は自然と身につくからとにかく読む・聞くを徹底するというようなことをやったりします。

これが絶対にないとは言いませんが、少なくとも大人が外国語として英語を学ぶにあたっては圧倒的に非効率、無理ゲーといってもいいくらいです。

日本人が英語を学ぶ際には、日本語の習得を通じて獲得した文法解析力を活用すべきと思います。
もちろん日本語と英語では文法は大きく異なりますが、それぞれに規則があるという点は共通しています。
英語の規則を学ぶことは、日本語の規則を身に着けた実績があるのだから可能なはずです。

■僕が多読を始めたのは、TOEIC900点を超えてから。

大きめの書店で洋書コーナーに行くと、まぁ、本を売りたいですから、「この本はTOEIC470点レベルから」なんて帯が巻いてある洋書を見たことがあります。

TOEICの得点=多読力ではありません。
ネイティブの子どもに近い環境で学習したことがある人だったら、TOEICの得点はそこまで高くなくても、本は読めるかもしれません。

ただ、一般的に言ってTOEIC470点の場合、洋書の多読にトライするのは早すぎます。
やはり英語力のステージに応じた学習法を取った方が効率よく伸びますので、そのくらいのレベルであれば、文法にしっかり取り組みながら精読を行うことをお勧めします。
やるとすれば、その合間にとても簡単な絵本のようなものを取り入れると効果的かもしれません。

僕が多読を始めたのはTOEIC900点を超えてからで、これはそれまで興味がなかったからというわけではなく、興味があってトライしてみたけど挫折したからなんです。
ハッキリ言って700点台半ばレベルだったころは、洋書の多読をしてもぜんぜんスピードに乗って読めず、小説1冊読むなんて無理でした。

今思えば、多読を始めるのは800点を超えて900点を目指すようになるくらいからかな、と思います。

■まとめ

多読はもちろん、たくさん読んで英語に触れる時間を長くすることが目的です。
とはいえ、たくさん聞く多聴と同様、わからないものをただたくさん目で追っても意味がありません。
多読の場合は単語単位で意味を調べれば何となくわかったような気になるかもしれませんけど、どちらかというと英文の構造に慣れて、いわゆる前から読み下す=返り読みしないということができるようになっていくことが目的です。

そのためにはやはり文法力が必要と考えます。
ですので、文法力に不安がある場合は先にそちらを固めてからの方が効果的でもありますし、そもそも多読を楽しめるのではないかなと思います。

無理をしてつらい読書をしたうえ、単語だけ調べてわかった気になっただけ、という読書はいったんやめにするというのも大事かと思います。

2019/09/12

レビュー:Auggie & Me: Three Wonder Stories



Auggie & Me: Three Wonder Stories
著:R. J. Palacio
読みやすさ★★★★★
お気に入り度★★★★★

Wonderのサイドストーリー集。
3つの短編が入っています。それぞれは20000語程度。

続編というのはちょっと正確ではないですね。
Wonderの主人公だったAuggieはほとんど登場しませんし、時間軸的にもほぼ同時進行のものになっています。

WonderでもAuggie以外の視点から描かれた章もあり、それがAuggieの学校生活にリアリティを加えていましたが、本書を読むことでますますその世界が広がります。
同時期に別の子に起こっていた出来事があって、それはほとんどAuggieとは関係がないともいえるんだけど、やっぱり彼が身近に存在することは彼らの変化につながっているんだなという持って行きかたがとても自然でうまいですね。

Wonderを読んだ方には絶対読んでほしいといえる本です。
また、こちらを読んだらそれをもとにもう一度Wonderを読み返したくなってしまうかな。

Wonderを読んだ後であれば舞台設定はわかっているので読みやすいし、単語もそれほど難しくありません。
短編3つにわかれているというのも読みやすいですね。

Lexileは680とのこと。YLは6としておきます。

2019/08/07

レビュー:Wonder



Wonder
著:R.J.Palacio
読みやすさ:★★★★☆
お気に入り度:★★★★★


映画にもなった話題の本ですので、もはや紹介の必要もないんじゃないかというくらい有名なWonder。

とはいえ一応簡単に紹介いたしますと、先天性の疾患のため顔に障害を持つAuggie(August)が初めて学校に通うことになり、1年間の生活を通しての成長が描かれるというストーリーです。

まぁ、こういうとなんですが、割とベタな感動のストーリーではあるのですが、主人公だけでなくいろいろな登場人物の視点を切り替えながら語られるため、1つの出来事のいろいろな側面が描かれ、深みが出ています。
なので、それぞれのキャラが単にいいやつ・悪い奴というわけでもなく、なるほどこういう裏があったのね、みたいな気づきは面白いです。

英語自体も全体的に読みやすいかなと思いますし、読んで損はないかな。

Lexileレベルでは高めの790となっています。もう少し読みやすいんじゃないかと個人的には思いますけど。
そんなわけで、個人的なYLは5としておきます。

■■=====ちょいネタバレ含む、スターウォーズネタの話
主人公のAuggieはスターウォーズがすごく好きという設定なので、説明なくスターウォーズ用語が使われます。
まぁ、アメリカだとスターウォーズはもはや誰でも知っている前提知識なのかな。

僕もスターウォーズは好きなのですが、もしかしたらあまり詳しくない方はわかりづらいところがあるのではないかと思い、趣味も兼ねて書いてみます。

●パダワン
スターウォーズ世界では、ルークやアナキンなどジェダイという特殊な能力を持った人たちが活躍しますが、その見習のことをパダワンと言います。
パダワンは髪の毛の一部を房にして伸ばすことになっていて、晴れて一人前のジェダイナイトになれたときにこれを切ります。
Auggieもパダワンのように髪の毛を伸ばしていたのですが、これを切るというのは彼にとって大きな意味を持つことだとわかります。

●ボバ・フェット
スターウォーズに登場する賞金稼ぎで、緑色っぽい前進鎧を着ています。
ヘルメットもかぶっているので顔は見えません。
なので顔を隠せるコスチュームとして、Auggieはこれをハロウィーンに選んだのですね。

ボバ・フェットの出自はちょっと複雑で、一応父親はジャンゴ・フェットといいますが、実はボバはジャンゴのクローンという設定です。
ジャンゴは優秀な賞金稼ぎだったため、スターウォーズ世界でクローンの兵士軍団を作るときに自分の遺伝子を提供したのですね。
その報酬の一つとして、100%のクローンであるボバをもらったということになっています。

そのため、ボバとジャンゴはほとんど同じ色違いのような鎧を着ています。

●モン・モスマ
モン・モスマは反乱軍の指導者ですが、映画にはあまり出てきません。
ただ、すごい変な髪形なんですよね。

●ダース・シディアス
いわゆる悪の皇帝。
ダース・シディアスはシスの暗黒卿というジェダイの宿敵となる存在です。
エピソード3の戦いのとき、シディアスは自分の放った電撃を跳ね返されて、顔が焼けただれてしまいます。
これがAuggieにたいするからかいになっているというわけですね。

●Loboto
エピソード5で出てくるキャラで、耳に機械がついています。
このキャラ、映画の中では名前はでてこないんじゃないかな?
かなりマニアックです。

Auggieは、補聴器がLobotoっぽいから嫌だといっていますが、同じくスターウォーズ好きな医者は「ジャージャーじゃないんだからいいだろ」と慰めています。
ジャージャーというのは、ジャージャー・ビンクスというキャラ。
これはエピソード1~3でかなりたくさん登場するのですが、なぜかスターウォーズファンの中ではめちゃくちゃ評判が悪いんですね。

それが裏にあるうえでの、「(不人気な)ジャージャーじゃないんだから、ロボトならいいじゃないか」という意味ですね。

●皇帝のガード
ダース・シディアス(皇帝)は、まぁ当然偉い人なので、特別な親衛隊が周りにつきます。
ロイヤルガードという赤い兵隊なのですが、Auggieは、自分の周りを守るように取り囲む友達を見て、自分が皇帝になったみたいだと思ったっぽいですね。

●表彰式
エピソード4の最後は、主人公のルークたちがデススターを破壊したことに対して表彰されるシーンになっています。
Auggieが思いつく表彰式と言えばこれだったのでしょうね。
この時の音楽が頭のなかでなり続けたというのも、ニヤリとさせる表現です。

2019/07/30

レビュー:There's a Boy in the Girls' Bathroom



There's a Boy in the Girls' Bathroom
著:Louis Sachar
読みやすさ:★★★★☆
お気に入り度:★★★★★

ルイス・サッカーは子どもの心理描写が本当にうまい!
なんだかへそ曲がりな行動ばっかりとってしまうBradlyとカウンセラーのCarlaを中心に、転校生や気の強い女の子など、よくあるピースを組み合わせながら独特な読み応えのあるストーリーになっているからさすがです。

自分自身が子どものころはそうじゃなかったけど、クラスに一人くらいはこういうあまのじゃくな子がいたかなぁとか、ああ、その子ってこんな気持ちだったのかもしれないなとすごく入り込めるのですよね。

サッカーというとHolesが有名ですが、僕は個人的にはあのストーリーはあまり気に入らなかった。
There's a Boy in the Girls' Bathroomとか、Someday, Angelineみたいな方がサッカーの真骨頂かなと思ってます。

分量的には3万語ちょっととなっていて、多読に慣れてきて少し長いものに挑戦したくなった方にちょうどいい。
文体や単語は優しめながら、本格的な長編への導入になります。

Lexileは490だそうです。YLは5くらいかな。

2019/06/27

レビュー:Jake Helps Out: Biblical Values (I Can Read! / The Jake Series)



Jake Helps Out: Biblical Values (I Can Read! / The Jake Series)
著:Crystal Bowman
読みやすさ:★★★★★
お気に入り度:★★★★☆


ネイティブの子どもむけ読み物シリーズ、I Can Readのレベル1です。
Kindle版だと、なんと50円!

うさぎ(?)のJakeはお手伝いをしたいのにうまくいかなくてがっかり。でもパパとママはちゃんとJakeの良いところをみていましたよ、というよくあるお話です。

英文の構成が非常にシンプルで読みやすく、単語を調べていけば迷うことはなさそう。
多読のスタートにおすすめです。
いきなり長いものを読もうとすると負担かもしれませんし、学習者向けに書き下されたものって値段の割に面白くなかったりしますが、これは普通のネイティブ向けの絵本としてよくできてるかなと思います。
なにしろ、安いですからね。

約500語だそうで、これが10冊読めたら、マジックツリーハウス1冊読めますね。
YLは1。Lexileは不明です。