もちろん英語の学習方法にはいろいろなものがある中で、洋書の多読というのはとても効果的なものであると思います。
だけど、たくさん聞くのだって、単語集をやるのだって、文法の勉強とかディクテーションとかシャドウイングとか、オンライン英会話とか、みんなそれぞれ効果的なんです。
多読については特に注意が必要かなと思うのは、基礎的なことができてないのに多読をしても、ただつらいだけなんですね。
■最初に結論:多読を始める前に基本的な文法を身に着けよう。
多読していると知らない単語が出てきます。だけど、単語は調べればわかります。
文法も調べればわかるかもしれませんが、こちらの方はある程度の基礎知識がないと調べ方すらわかりません。
なので、多読をして英語を学習したいと思うなら、おおむね構文がわかるくらいの文法力は必要であると思います。
また、日本の英語教育では難しいとして後回しになっている過去完了・未来完了、仮定法、関係代名詞のwhatや関係副詞なども、ネイティブ向けの洋書では普通に登場します。
それも踏まえると、だいたい高校1年生くらいまでの英文法は、おぼろげにでもわかっていた方がいいですね。
■多読で単語や文法は自然に身につく?
よくある「ネイティブの子どもが身に着けるように英語を身につける」という方法論では、文法とか単語は自然と身につくからとにかく読む・聞くを徹底するというようなことをやったりします。これが絶対にないとは言いませんが、少なくとも大人が外国語として英語を学ぶにあたっては圧倒的に非効率、無理ゲーといってもいいくらいです。
日本人が英語を学ぶ際には、日本語の習得を通じて獲得した文法解析力を活用すべきと思います。
もちろん日本語と英語では文法は大きく異なりますが、それぞれに規則があるという点は共通しています。
英語の規則を学ぶことは、日本語の規則を身に着けた実績があるのだから可能なはずです。
■僕が多読を始めたのは、TOEIC900点を超えてから。
大きめの書店で洋書コーナーに行くと、まぁ、本を売りたいですから、「この本はTOEIC470点レベルから」なんて帯が巻いてある洋書を見たことがあります。TOEICの得点=多読力ではありません。
ネイティブの子どもに近い環境で学習したことがある人だったら、TOEICの得点はそこまで高くなくても、本は読めるかもしれません。
ただ、一般的に言ってTOEIC470点の場合、洋書の多読にトライするのは早すぎます。
やはり英語力のステージに応じた学習法を取った方が効率よく伸びますので、そのくらいのレベルであれば、文法にしっかり取り組みながら精読を行うことをお勧めします。
やるとすれば、その合間にとても簡単な絵本のようなものを取り入れると効果的かもしれません。
僕が多読を始めたのはTOEIC900点を超えてからで、これはそれまで興味がなかったからというわけではなく、興味があってトライしてみたけど挫折したからなんです。
ハッキリ言って700点台半ばレベルだったころは、洋書の多読をしてもぜんぜんスピードに乗って読めず、小説1冊読むなんて無理でした。
今思えば、多読を始めるのは800点を超えて900点を目指すようになるくらいからかな、と思います。
■まとめ
多読はもちろん、たくさん読んで英語に触れる時間を長くすることが目的です。とはいえ、たくさん聞く多聴と同様、わからないものをただたくさん目で追っても意味がありません。
多読の場合は単語単位で意味を調べれば何となくわかったような気になるかもしれませんけど、どちらかというと英文の構造に慣れて、いわゆる前から読み下す=返り読みしないということができるようになっていくことが目的です。
そのためにはやはり文法力が必要と考えます。
ですので、文法力に不安がある場合は先にそちらを固めてからの方が効果的でもありますし、そもそも多読を楽しめるのではないかなと思います。
無理をしてつらい読書をしたうえ、単語だけ調べてわかった気になっただけ、という読書はいったんやめにするというのも大事かと思います。